ベンチャー企業が登場したのは1970年です。それから50年が経ち、ベンチャー企業が活躍できる場所はさらに広がってきています。
斬新なビジネスモデルを展開しているベンチャー企業は、国内のデジタル化やIT化の流れの中で、注目を集めている存在です。
そこで今回は、近年のベンチャー企業の特徴や、今注目のベンチャー企業を10社ご紹介します。
近年のベンチャー企業について
近年のベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業の大きな特徴と言えば「新しさ」です。過去のビジネスモデルに囚われず、現代の日本にはない新たな産業を創造すると言うところがポイントとなります。
現段階では財政的に厳しく、投資機関から援助を受けていることも多いですが、将来的には大きく成長する可能性があります。
安定した事業ができる確約はありませんが、自分の能力を活かし会社の成長に貢献できる割合が大きいことから、向上心の強いタイプの人が集まる職場となっています。
経済産業省や地方自治体による支援の増加
近年では、国・経済産業省・地方自治体などによるベンチャー企業への支援が目立ってきています。これは、産業の活性化・雇用創出・地域再生など、様々な課題を解決へと導く存在としての期待が集まっているためです。
医療・環境保全・次世代エネルギーなどの様々な分野で、ベンチャー企業が新規事業を開拓し始めています。しかし、資金や人材不足などの課題・問題が多々あるのが現状です。
そうした課題・問題の解決と円滑な新規事業展開の支援をするため、経済産業省による支援策や仕組みが作られています。
経済産業省で実施されているのは、「企業によるベンチャー投資促進税制」「ベンチャー企業に対する個人投資家の投資への税制上の優遇措置」「起業家人材育成事業」などです。
また、地方自治体などの行政が間に入って、大企業とベンチャー企業をマッチングする動きも出てきています。
スタートアップとの違い
ベンチャー企業と混同されがちなスタートアップですが、スタートアップは企業形態を指す言葉ではありません。平たく言うと、新たなビジネスモデルを開発する企業のことで、市場を開拓する段階に位置するものを指します。
一般的には、創業から2〜3年程度の企業がスタートアップと言われることが多いです。もともとはアメリカのIT企業が集まるシリコンバレーで使い始められた言葉で、インターネットを中心としたIT企業が多い傾向にあります。
特徴としては、短期間に急激な成長を遂げると言う点があり、企業目的にこれまで市場に存在しなかった新しいビジネスを掲げていることが多いです。
このビジネスはただ新しいだけでなく、世の中に新しい価値をプラスすると共に、人々の役に立つものがほとんどです。すなわち、イノベーションの観点があり、社会貢献を目的にしているということが、スタートアップを名乗る為の条件となっています。
これらのことから、すでに存在しているサービスの延長上にあるビジネスの場合は、企業が創立して間もない段階であってもスタートアップとは呼びません。
大注目!急成長ベンチャー企業を紹介
ここからは、急成長している大注目のベンチャー企業10社をご紹介します。
①株式会社タイミー
株式会社タイミ―は、2017年に東京都港区に設立されました。「”働く”を通じて人生の可能性を広げるインフラをつくる」をミッションに掲げ、スキマバイトアプリ「タイミ―(Timee)」などの事業展開をしている企業です。
代表の小川氏は、祖父の急逝をきっかけに「人生の時間は有限である」という教訓を得ました。有限であるからこそ、時間の価値を最大限に高める方法を短時間で見つけ、実行できる世界を実現したいという想いから、好きな時間に働ける「タイミ―」が着想されました。
株式会社タイミ―では、「働く」に留まらない様々なアプローチでインフラを作り、一人ひとりの時間をより豊かにできる世界を目指しています。
人手不足の解消・職場環境の改善など、企業が抱える「人」に関する経営課題を解決し、これまでアルバイトや派遣業界が抱えていた課題も解決することで、人々の働き方は根底から変えることが可能であると株式会社タイミ―は考えています。
②株式会社ヤプリ
株式会社ヤプリは、2013年に東京都港区に設立されました。スマートデバイスに特化したインターネット事業を展開しています。具体的には、プログラミング不要でサイトやアプリの構築ができる「Yappli」の提供です。
多くの企業がアプリを配信していますが、自社で制作できるエンジニアを抱えているかというと、必ずしもそういう訳ではありません。また、アプリを制作できる企業であったとしても、アプリの更新などの運営を含めて考えると、かなり大きなコストがかかります。
そのような企業に新しいアプリを導入する負担を低減してくれるのが、エンジニアがいなくてもサイトやアプリが作れるサービスである「Yappli」です。
株式会社ヤプリでは、このようなアプリのテクノロジーを全ての企業へ開放したいと考えており、企業へ革新を与えることができるプラットフォームになることを目指しています。
③スマートキャンプ株式会社
スマートキャンプ株式会社は、2014年に東京都港区に設立されました。事業内容は、SaaS企業へのマーケティング・セールス・HRなど、あらゆる領域での成長支援を行っています。
SaaS(サース)とは「Software as a Service」の略で、インターネット経由でソフトウェアを提供するクラウド型サービスのことです。
スマートキャンプ株式会社では、日本の生産性向上のカギを握るのがテクノロジーの活用による非効率を解消することだと考えています。特にSaaSによって、働き方の「不」を解消していけると言う信念があります。
唯一無二のSaaSのプラットフォームとして、SaaSを普及させることで日本のデジタル化を推進していくことを目指しています。
④株式会社TRUST
株式会社TRUSTは、2021年に東京都多摩市に設立されました。事業内容は、空間デザイン事業・建築測量事業・イベントラボ事業(WEBサイト制作)などを行っています。
もともとは建築測量事業に特化した企業でしたが、新たに空間デザイン・リニューアル事業を主軸とし、プロパティマネジメント・ライフスタイル・イベントラボ事業を立ち上げました。既成概念に囚われず、常に新しいマーケットにチャレンジしている企業です。
株式会社TRUSTは事業を通じてお客様を笑顔にし、自分たち自身も笑顔でいることを大切にしています。また、TRUSTと関わるすべての人に真摯に向き合い、人と人との繋がりを重視し、信頼され続ける企業であることを目指しています。
地域社会の貢献にも力を入れており、ベーグル専門店の運営を通じて体に優しい食の提案を、ギャラリーやワークショップでは新しい文化と価値観を発信し、地域の人々の人生が豊かになるよう、企業努力を続けています。
⑤ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社は、2017年に東京都港区に設立されました。DX物理世界のデジタル化・視聴触覚体験での新価値機軸の創造・デジタルと物理世界を繋ぐインターフェース領域の技術革新の推進などを行うテクノロジー企業です。
テレビなどメディアに多数出演している落合陽一氏が代表取締役を務めています。落合氏以外にも大手メーカー・コンサル・ITベンチャー・官公庁出身者など、多彩なバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。
先端的かつ高度な技術をベースとし、様々な大企業とのイノベーション創造を目指したコラボレーションをしながら、テクノロジーの社会実装を進めています。また、ソリューション型の自社サービス展開も行っています。
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社は「やらなければいけないことを、やっている」と自負しており、世界をデジタルの観点から俯瞰し、新たな均衡点へと導く原動力になることを目指しています。
⑥株式会社モダリス
株式会社モダリスは、2016年に東京都中央区に設立されました。事業内容は、遺伝子治療薬の開発や、プラットフォーム技術の提供です。
具体的には、モダリス独自のプラットフォーム技術である「CRISPR-GNDM技術」をパートナーに開放し、パートナーの資金で治療薬の開発または自社資金での治療薬の開発を行っています。
治療薬の開発には多国籍の頭脳集団で挑んでおり、2017年に東京大学との間でCRISPR技術に関する独占ライセンス契約を結んでいます。また、アステラス製薬やエーザイと遺伝性遺伝子疾患治療薬の共同開発を進めています。
モダリスCEOの森田氏は「困っている患者さんの命を救い、生活の質を向上させることが、我々の真の意味での満足に繋がる」という信念のもと、開発薬の社会実装を目指しています。
⑦株式会社SmartHR
株式会社SmartHRは、2013年東京都港区に設立されました。事業内容は、SmartHRの企画・開発・運営・販売を行っています。SmartHRとは、クラウド人事労務ソフトのことで、労務管理クラウドにおいて4年連続シェアNO.1となっています。
創業者である宮田氏は、妊娠中の妻が産休・育休に必要な書類をテーブルいっぱいにひろげ自作している様子を見て、従来の社会保障制度の申請方法に課題があることが否めないことに気付きました。
人々に安心をもたらす素晴らしい制度である社会保障制度ですが、複雑な申請方法によりしわ寄せが従業員の身に及んでしまうのは本末転倒です。この背景を踏まえ、社会保障制度を平等でフレンドリーな存在にするべく生まれたのが「SmartHR」です。
株式会社SmartHRでは、従業員が安心して働けるように陰から支える仕事である「労務手続き」を簡略化し、より価値のある仕事に集中できる世界を作っていきたいと考えています。
⑧BASE株式会社
BASE株式会社は、2012年に東京都港区に設立されました。事業内容は、WEBサービス企画・開発・運営を行っています。
具体的には、誰でも簡単に使えることをコンセプトにした、ネットショップ作成サービス「BASE」の提供です。専門知識がなくても、スマホ1つあれば誰でも簡単にネットショップが開設・運営できるサービスとなっています。
BASEは、代表取締役である鶴岡氏の母の「ネットショップがやってみたい」という声がきっかけで生まれました。使い方に難しさを感じたり、費用の問題でネットショップ運営が難しいという悩みを持つ人のために開発されたサービスです。
BASEのショップ開設数は2021年には140万ショップを突破し、ネットショップ作成サービス調査では4年連続NO.1に選ばれています。
⑨Peatix株式会社
Peatix株式会社は、2007年にAmazonジャパン出身の創業メンバーによりOrinoco株式会社として日本でスタートし、グローバル展開を目的として2011年にアメリカ・カリフォルニア州に設立されました。現在はニューヨーク州に拠点を移しています。
事業内容は、イベント・コミュニティ管理サービスの提供です。特別な知識が不要で、事前審査なしですぐにチケットを販売することが可能なサービスとなっており、フェスなどの音楽イベントから企業のセミナーまで幅広いジャンルで使われています。
現在では会員数840万人、常時1万件を超えるイベントを掲載しており、日本をはじめ、アメリカ・シンガポール・マレーシア・香港など27カ国のユーザーに支持されています。
Peatixは海外への展開を積極的に進めており、売上も伸び続けています。この勢いを保ったまま、欧米市場でのシェアを今後さらに伸ばして行くことを目指しています。
⑩株式会社ミラティブ
株式会社ミラティブは、2018年に東京都目黒区に設立されました。事業内容は、ゲーム配信プラットフォーム「Mirrativ」の運営を行っています。
スマホアプリの「Mirrativ」は、ゲームを通じて人と人とがつながる、わかりあう「居場所」を創っています。配信数・スマホゲーム配信者数は430万人を突破し、日本一のプラットフォームへと成長しています。
ミラティブには元DeNA最年少執行役員だったCEOの赤坂氏をはじめとし、ベンチャー企業で役員や部長を務めた経験豊富なメンバーが揃っています。
ミラティブでは、「強いWILLを持って期待と常識を超えたサービスを生み出し、人々の”わかりあい”を繋いでいきたい」という考えのもと、コミュニケーション空間の再発明にチャレンジし続けています。
まとめ
この記事では、近年のベンチャー企業についての解説と、今最も注目すべきベンチャー10社をご紹介しました。
・近年のベンチャー企業について
・急成長ベンチャー企業を紹介
ここで紹介した10社は、急成長すること間違いなしのベンチャー企業です。しっかりとした信念を抱きチャレンジする姿勢を忘れないこれらの企業は、ますます活躍の場を広げ、社会の課題の克服・解消という点でもより大きな役割を果たしていくことでしょう。